円形脱毛症(alopecia areata:AA)とは?
円形や楕円形の脱毛斑が生じる病気です。一般的には10円玉位の脱毛と思われていますが頭部全体に広がるものや眉毛やまつげ・体毛などに及ぶ重度のものまで、その症状は様々です。
また、多発性のものは再発しやすく、発毛部と新たな脱毛部が同時に出現することもあります。
症状
自覚症状はなく突然発症します。1cm〜3cmの脱毛斑で、単発〜多発、時には頭髪全体が抜けてしまう全頭脱毛を呈することや、眉毛やまつげ・体毛などが抜けてしまう全身性の脱毛になるケースもあります。単発の場合は自然治癒をしやすいですが、多発の場合は治療に抵抗する場合も多くあります。
原因
様々な説がありますが、近年では髪の毛の毛根組織に対して免疫機能の異常が発生する「自己免疫疾患」とする説が有力とされています。
発生の要因としては疲労や感染症などの肉体的・精神的ストレスや体質的な素因があります。橋本病などの甲状腺疾患や尋常性白斑、SLE、関節リウマチなどの各種自己免疫疾患を併発する場合があります。
また、アトピー性皮膚炎の患者さんは、円形脱毛症になりやすいことが知られています。そのため、円形脱毛症の診断時にはこれらの合併症の併存に注意が必要です。
治療方法
■局所注射 使用薬剤:ステロイド・オビソート・セファランチン
*薬剤は、症状に合わせて適宜使い分けます。
推奨される治療頻度:1週間に1回から2〜3週間に1回
■局所免疫療法(人工的にかぶれを起こす治療)
推奨される治療頻度:1週間に1回
■エキシマライトによる紫外線療法
推奨される治療頻度:1週間に1回から2週間に1回
■外用薬
ステロイド外用剤、カンタリスチンキ、カルプロニウム塩化物(商品名:フロジン)
■内服薬
グリチロン(グリチルリチン製剤)、セファランチン
*脱毛面積が頭部の50%以上に及ぶ重症の場合:
経口JAK阻害剤であるオルミエント(バリシチニブ)やリットフーロ(リトレシチニブ)を処方することも可能です。
各種炎症の信号を伝える経路の一つに「JAK-STAT(ジャック・スタット)経路」が知られています。この経路を阻害する薬剤のことをJAK阻害剤です。オルミエントは、特にJAK1及びJAK2活性を阻害しSTATのリン酸化及び活性化を抑制することによりシグナル伝達阻害し、各種の炎症を制御します。
■ステロイドパルス治療(ステロイド製剤の点滴治療)
急速な円形脱毛症の進行がある場合には、ステロイドパルス治療(ステロイド製剤の点滴治療)が効果的なケースがあります。この治療は、入院施設がある皮膚科医療機関での治療となりますので、紹介状を作成いたします。
治療を受ける上での注意点
治療法によってそれぞれ異なりますので診察時にご説明いたします。
症状や状況に合わせて治療法をご提案いたしますのでまずはご相談ください。