アトピー性皮膚炎とは？
乳児〜成人にみられる慢性の難治性皮膚炎です。乾燥肌をベースに持つ場合が多く、そこに様々な物質（食物、ダニ、カビ等）に対してアレルギー反応を示したり、水道水中の塩素、発汗やストレスなどの環境因子が複雑に関与し合う「湿疹のデパート」と言われるものです。
症状
乳幼児期
頭部・顔面から始まり、徐々に体や手足（体幹・四肢）に広がる湿疹病変が特徴です。この時期の湿疹の特徴としては、湿潤傾向（ジュクジュク）があるので、カサブタ（痂皮）、角層のたまり（鱗屑）がみられやすいです。
また体や手足は乾燥があり、痒みによる掻破（掻き行動）も認められます。
小児期
慢性の経過に伴い皮膚全体の乾燥が目立つようになり、皮膚の水々しさや柔軟性が低下します。時に、肘の内側、膝裏、ワキなどに掻破痕（掻き行動による痕）が目立つようになり、次第に皮膚の苔癬化（ゴワゴワした感じ）が認められます。また、耳切れ（耳部のジュクジュク）も呈することがあります。
成人期
皮膚の苔癬化（ゴワゴワした感じ）が更に進行するとともに、長期の炎症に伴い皮膚全体の色調が黒〜茶色様に変化します。また、時折、「紅皮症（こうひしょう）」と呼ばれる全身の皮膚が真っ赤になり、強い痒みを認める状態になることもあります。
原因
アトピー素因（アレルギー疾患の既往歴や家族歴など）というアレルギー体質に基づく先天的な皮膚バリア機能が低下している状態に、様々な環境因子が刺激となり慢性の湿疹が発生するとされています。最近の研究では、アトピーの原因として種々のサイトカインの影響が知られています。
悪化要因
乳児
母乳、果汁、水道水中の塩素
幼児
食物、水道水中の塩素、ほこり、ダニ、カビ
学童・成人
食物、水道水中の塩素、ほこり、ダニ、カビ、睡眠不足、ストレス（学業・職業・人間関係など）
治療方法
当院では、非ステロイド外用剤とステロイド外用剤の使い分けや、生物学的製剤など新薬の使用など、患者様の要望に沿う最適な治療を心がけています。
- 受診時に約20項目からなる質問表に回答していただき、悪化誘発因子を調査します。
- 質問表を元に原因除去の方法を具体的に教示します。
- ステロイド外用剤や非ステロイド外用剤を数種類試していただき、それぞれの反応を検討します。また、痒みに対しては、適宜抗アレルギー剤内服を処方します。
- 症状に応じて、アトピー皮疹が全身性に出現している場合には、全身型ナローバンドUVB治療をご案内致します。また、皮疹が狭い範囲に存在する場合には、エキシマライトという紫外線の部分照射をご案内します。
- 皮膚炎の反応を抑える静脈注射（非ステロイド製剤）を行います。
※上記の治療により改善が十分でないアトピー性皮膚炎の患者さんには、アトピー性皮膚炎の新薬「生物学的製剤のデュピクセント(デュピルマブ）」及び「経口JAK阻害薬のオルミエント、リンヴォック、サイバインコ」の投与も行なっております。漢方薬、腸内細菌製剤を用いる場合もあります
治療を受ける上での注意点
治療法によってそれぞれ異なりますので診察時にご説明いたします。
症状や状況に合わせて治療法をご提案いたしますのでまずは医師にご相談ください。