多汗症

多汗症とは?

多汗症

多汗症(たかんしょう)とは過剰に汗をかく病気です。通常は汗をかかない場面であっても、大量の汗をかきます。多汗症にはいくつか種類があり、原因や症状によって分類されています。

手足の多汗症

  • 特に原因なく幼少児期または思春期頃に発症し、精神的緊張により手のひら、足のうらに日常生活に支障をきたす程の大量の発汗を生じる状態です。
  • 重度の方では、滴り落ちる程の多汗がみられ、手足は絶えず湿って指先が冷たく、紫色調を帯びていることがあります。
  • 湿った手足はあせも(汗疹)ができやすくなり、皮膚がめくれたり、カビや細菌の感染を起こしやすくなることが知られています。
  • 日本人の約5%(20人に1人)と高い割合で認められます。

脇の多汗症

脇では、精神性発汗(精神的に緊張すると生じる汗)と温熱性発汗(体温調節のために生じる生理的な汗)の2つがあります。
症状としては、左右対称性に多くの脇汗がみられ、下着やシャツに汗によるシミができることが多いです。また、手足の多汗を伴っていることが多いと言われています。

頭部、顔面多汗症

男性に多くみられ、長期間持続します。頭皮、耳 、おでこなどから大量の発汗をきたします。熱い食べ物や飲み物の摂取後やあるいは精神的なストレスによって生じるとされています。
頭皮や顔面から汗が滴り落ちることがあり、通常は数分間でおさまりますが、ひどい時には数時間から一日中続くこともあります。

全身性多汗症

全身性多汗症には特に原因のない原発性(特発性)全身性多汗症と、他の疾患に合併して起きる続発性全身性多汗症があります。

  • 原発性(特発性)全身性多汗症
    抗コリン作用のある臭化プロバンテリン(商品名:プロバンサイン)を内服して頂くことがあります。
  • 続発性全身性多汗症
    甲状腺機能亢進症(バセドウ病)や内分泌代謝異常(ホルモンの問題)、神経疾患や薬剤性の影響などがありますので、まずは内科の病院にてこれらの治療をしていただくことが必要になります。 

症状

全身および部分的(脇・手のひら・足の裏・頭皮など)に発汗過多(多量の汗をかくこと)を認めます。

原因

エクリン腺の過剰分泌によります。

治療方法

保険治療

手足の多汗症(保険適応)

水道水イオントフォレーシス
日本皮膚科学会「原発性局所多汗症診療ガイドライン」で推奨度B(行うよう勧められる)の治療法です。

当院に来院して治療していただきます。(週1~2回)
多くの方が数回で効果が表れます。

内服薬
臭化プロバンテリン
(商品名:プロバンサイン)
抗コリン作用により発汗を抑える薬剤です。内服中は制汗しますが、内服を止めると、また発汗しますので内服を続ける必要があります。ただし、この薬のもう一つの作用として唾液の分泌を抑えるので、口渇が見られます。そのため、ひどい口渇がある場合は内服する量を2分の1にするなどの減量が必要となります。

■外用薬
オキシブチニン塩酸塩
(商品名:アポハイド®ローション)

日本で初めて保険治療が認められた、原発性手掌多汗症用の塗り薬です。エクリン汗腺にあるムスカリン受容体に対する抗コリン作用により神経伝達物質であるアセチルコリンの作用を阻害することで発汗を抑える外用の薬剤です。両手掌(手の平)に1日1回寝る前に適用量を外用していただきます。

手汗及び薬剤に関する詳しい情報は下記のサイトをご覧ください。
https://www.hisamitsu.co.jp/tenoase/

外用薬であるオキシブチニン塩酸塩(商品名:アポハイド®ローション)は12歳以上から処方可能です。

脇の多汗症(保険適応)

■内服薬
臭化プロバンテリン
(商品名:プロバンサイン)
抗コリン作用により発汗を抑える内服の薬剤です。内服中は制汗しますが、内服を止めると、また発汗しますので内服を続ける必要があります。ただし、この薬のもう一つの作用として唾液の分泌を抑えるので、口渇が見られます。そのため、ひどい口渇がある場合は内服する量を2分の1にするなどの減量が必要となります。

■外用薬

ソフピロニウム臭化物(商品名:エクロック®ゲル)
日本で初めて健康保険の適用が認められた、原発性腋窩多汗症用の塗り薬です。抗コリン作用により神経伝達物質であるアセチルコリンの作用を阻害することで発汗を抑える外用の薬剤です。両脇に1日1回適用量を外用していただきます。また重篤な副作用は無く安全にお使いいただけます。副作用としては、皮膚炎、紅斑、かゆみ、湿疹、口の渇きなどが認められます。


薬剤に関する詳しい情報はこちらをご覧ください。

グリコピロニウムトシル酸塩水和物(商品名:ラピフォートワイプ®)

エクロック®ゲルと同様の原発性腋窩多汗症用の塗り薬です。抗コリン作用により神経伝達物質であるアセチルコリンの作用を阻害することで発汗を抑える外用の薬剤です。両脇に1日1回適用量を外用していただきます。また重篤な副作用は無く安全にお使いいただけます。副作用としては、羞明、ドライアイ、散瞳、霧視、接触皮膚炎、湿疹、排尿困難、頻尿、口渇などが報告されています。

外用薬であるソフピロニウム臭化物(商品名:エクロック®ゲル)は12歳以上から処方可能です。グリコピロニウムトシル酸塩水和物(商品名:ラピフォートワイプ®)は9歳以上から処方可能です。

頭部、顔面多汗症(保険適応)

内服薬
臭化プロバンテリン
(商品名:プロバンサイン)
抗コリン作用により発汗を抑える薬剤です。内服中は制汗しますが、内服を止めると、また発汗しますので内服を続ける必要があります。ただし、この薬のもう一つの作用として唾液の分泌を抑えるので、口渇が見られます。そのため、ひどい口渇がある場合は内服する量を2分の1にするなどの減量が必要となります。

自費治療

ボツリヌストキシン注入
【 ボツリヌストキシン注入の利点 】
汗を分泌する神経を遮断することで汗の分泌を軽減させます

【 脇多汗への利点 】
・臭いの軽減が期待できる
・注射1本で約3か月から半年間脇汗が止まる
・手術と違い、注射なので傷が目立たない

ボツリヌストキシン注入の注意点

治療のリスク・副作用として内出血、注入部分に発赤、腫れ、硬結、痛みなどがあります。
※現在、当院では頭部・顔面の多汗症に対しては、施術範囲が大きいこともあり積極的にボツリヌストキシン注入は行っておりません。

料金表

ボツリヌストキシン注入

両脇の多汗症¥33,000
両手のひらの多汗症¥33,000
両足のうらの多汗症¥33,000
※料金は税込み表示になります。(保険適用外)

この記事を書いた人

宗大先生

つくば・土浦鶴町皮膚科クリニック副院長
流山鶴町皮膚科・小児科クリニック 皮膚科担当医師
鶴町 宗大 医師
◆皮膚科専門医 ◆レーザー専門医 ◆医学博士