帯状疱疹(たいじょうほうしん)

帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは?

帯状疱疹

帯状疱疹は、加齢やストレス、疲労などで免疫力が低下すると神経に沿って痛みを伴いながら発疹と水疱(水ぶくれ)が起きる病気です。
発疹が治っても長期に痛みが続く帯状疱疹後神経痛(PHN)や、発症した場所によっては稀に視力の低下、難聴、運動麻痺などの後遺症が残ることもあります。
特に、50歳代から発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人が発症するとされます。

症状

神経分布領域に一致して神経痛、知覚異常、痒みなどが初めに数日間続いた後、紅斑(皮膚の赤み)、赤い丘疹(小さな皮膚の盛り上がり)や水疱(水ぶくれ)が神経の走行に沿って帯状に出現する病気です。

その後紅斑の上に、小水疱(水ぶくれ)が多発します。水疱は約1週間で破れて、約2週間でカサブタとなり、約3週間でカサブタは脱落して治癒します。

気をつけなければならない合併症

以下の症状が心配される場合は眼科、耳鼻科、内科、泌尿器科などへ紹介も考慮させて頂きます。

顔面の帯状疱疹

皮疹が出ている側の顔面神経麻痺(顔の動かしにくさ)、味覚障害、内耳障害(耳の聞こえにくさ)、目の角膜障害(視力低下など)が起きることがあります。

腹部の帯状疱疹

腹筋の麻痺により腹部の膨隆(盛り上がる)や膨満感(張る)や便秘(イレウス症状)が起きることがあります。

下腹部の帯状疱疹

膀胱直腸障害がみられ、尿閉(尿が出にくい状態)が起きることがあります。

ウイルス性髄膜炎、脳炎

高熱、ひどい頭痛が見られることがあります。 

その他注意点

  • 基本的に終生免疫がつくため一生に一度しか発症しないと言われております。稀に、二度かかる方もいます。
  • 痛みの程度には個人差がありますが、チクチクとした違和感を感じる軽い方から、夜も眠れないほどの激痛を認める方もいます。
  • 多くの方は、皮疹の治癒と同時に疼痛も消失します。しかし、一部の方では皮疹治癒後にも痛みが残り、長期間疼痛が続く場合があり、これを帯状疱疹後神経痛と呼ばれています。
    ※50歳以上で帯状疱疹を発疹した人のうち、約2割はPHNになるとされます。
    ※疼痛(とうつう)とは、ずきずきとうずくように痛むこと。
  • 水ぼうそう(水痘)に罹患したことがない乳幼児などが同居している場合には、移る可能性があるので注意が必要です。

原因

小児期に罹患した水ぼうそうの原因となる水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)は、神経節内に潜伏感染しています。このウイルスが何らかの免疫力が低下する誘因(年齢・疲労・日光照射・糖尿病・悪性腫瘍合併など)で、再活性化することで神経節内にて増殖し、発症するのが原因です。

治療方法

皮疹や痛みの程度によって以下のような治療を行います。

■抗ウイルス薬の内服・点滴
早期に開始することが大切です。
そのため重症なものは、近隣の病院にて入院加療を提案させていただきます。

鎮痛剤の内服
痛みが強い場合は、各種痛み止めの内服を行います。

ビタミン剤(ビタミンB12:メコバラミン)の内服
神経の損傷を回復し、痛みを緩和する作用があります。

ペインクリニック
痛みが強い場合はペインクリニックに紹介してブロック注射などを行うことがあります。
※痛み(=ペイン)を専門に治療する診療科のことです。

事前に発症予防しませんか?

帯状疱疹は事前にワクチンを打つことで予防することができます。
また、2025年4月1日から一定の条件を満たす方を対象に、ワクチンの接種費用の一部が公費で助成されることになります。

生活上の注意点

  • 痛みを軽快させるため痛いところを温めるようにしましょう。
  • ストレスや過労は、悪化の原因となりますので睡眠と栄養を十分にとり安静にしましょう。
  • 水ぼうそうにかかったことのある大人には感染しませんが、抵抗力のない病人や水ぼうそうにまだかかったことのない子供には感染しますので接触を避けて下さい。
  • シャワーや入浴はしてもかまいません。

この記事を書いた人

宗大先生

つくば・土浦鶴町皮膚科クリニック副院長
流山鶴町皮膚科・小児科クリニック 皮膚科担当医師
鶴町 宗大 医師
◆皮膚科専門医 ◆レーザー専門医 ◆医学博士